一般的に、自宅サロンの開業準備は

  1. 必要な技術を身につける
  2. 場所を準備する
  3. サロン名を決めたら開業!

と、簡単に考えられがちです。

ところが、そうして「何となく」始めたサロンは
長年にわたって愛されるサロンにはなりません。

ここでは、これまで多くのベンチャー企業立ち上げに関わり
ドリームヒントでも多くの自宅サロン開業を支援してきた
開業支援担当 劉 羽瑠子

自宅サロンの開業準備に必要な5つのステップをご案内します。

Step1:自宅サロンのターゲットを決める

何よりも最初に行うのが、ターゲットの設定です。

ターゲットを決めましょう、というお話をすると
「老若男女、全ての人にオススメなんです!」
とおっしゃるセラピストさんが多いですが

 

「みんなに良い」=「誰にとっても特別じゃない」

 

と言うことです。

ここ十数年で、インターネットが普及したことで
この考え方はビジネスの世界では当たり前になりつつあります。

 

想像してみてください。化粧品でも、
「全ての年代の女性にオススメ」と言われるよりも
「子育て中のアラフォー女子にオススメ」と言われた方が
ずっと魅力的に聞こえませんか?

これは、あなたが子育て中でなくても
あなたがアラフォー女子でなくても

 

「子育て中で、40の曲がり角を曲がる女性に効果があるなら
疲れてて、年齢が気になる私にも、良いかもしれない」

 

そう感じたのではないでしょうか?

ターゲットを絞ることで
あなたの魅力を、より具体的に伝えることができるので
ターゲットに当てはまらない人にまで
その魅力が伝わるようになるんです!

 

では、ここからは、具体的に、
どんな風にターゲットを決めるか見ていきましょう。

①お客様の顔を想像する

まずは、実際にあなたがお客様に
トリートメントをしている様子を想像してください。

そのお客様は、あなたの事をセラピストとして信頼して
あなたの自宅サロンに通ってくることを
心から楽しみにしてくださっています。

あなたは、そのお客様にトリートメントをすることで
人としても、セラピストとしても、幸せを感じて
とても充実した時間を共有することができています。

②お客様像を具体化する

お客様の顔が想像できたら
そのお客様のことを、より具体的に考えていきます。

  • 年齢
  • 性別
  • 居住地
  • 職業
  • 趣味・趣向

これらの事を、より具体的にしていきます。

 

この時のコツは、誰か一人をしっかり想像することです。

例えば、年齢を考える場合
「30代〜60代」となってしまいがちですが
それではターゲット設定としては広すぎます。

大事なのは、①で想像したお客様にフォーカスして
その方お一人だけを具体化することです。

③お客様にどうなって欲しいか考える

最後に、①で想像したお客様に
あなたの自宅サロンに通うことで
どうなって欲しいかを考えます。

あなたのサロンに通うことで、どんな悩みを解決して
どんな風になってもらいたいか。

ここでも、より具体的に考えることで
ここから先のステップが楽になりますので
頑張って考えてみてください。

ターゲットを絞るのが怖いあなたへ

ターゲット設定をする段階で
対象を絞ることに恐怖感をおぼえるセラピストさんも少なくありません。

確かに、たくさんの人に来てもらって
一回でも多くトリートメントをすることで
1,000円でも多く稼ぎたいですよね。

でも、たくさんの人に来てもらうことと
ターゲットを絞ることは、逆のことではないんです。

 

ここで決めるターゲットは、あくまでも
集客のためのターゲットです。

ターゲットを絞るのは、あなたの得意分野を
より具体的に、より多くの人に伝わる様にするためです。

 

ここでターゲットを絞ったとしても
ターゲット外の人をお断りするわけではありません。

より多くの人に、あなたと言う人を
より少ない言葉で理解してもらうために
ターゲットを絞るんです。

だから、怖がるどころか、ターゲットを絞ることで
より簡単に、より多くの人に、あなたの魅力を
理解してもらえる様になるんです。

 

大事なのは

あなたが、誰に、どうなって欲しいか

それを重視することです。

Step2:自宅サロンの営業日時を決める

ターゲットが決まったら
いつ営業するのかを決めます。

ここでも、多くのセラピストさんが
「全てのチャンスを逃したくないから」と
なかなか営業日時を決められずにいます。

でも、営業日時を決めるメリットよりも
営業日時を決めないデメリットの方が多いとは
知らない方が多いです。

営業日時を決めないデメリット

営業日時を決めないことで、
自宅サロンには多くのデメリットがあります。

 

いつでも空いているサロンだと思われる
  ↓     ↓
いつでも空いているから、事前に予約しなくて大丈夫
  ↓     ↓
事前予約が入らないから、いつでもガラガラのサロンになる
  ↓     ↓
いつもガラガラだから、必死で行かなくていい場所になる

 

営業日時を決めないことで、お客様の中で
あなたの自宅サロンに対するイメージが
こんな風になっていってしまいます。

 

では、あなたにとってのデメリットはどうでしょう?

 

いつ予約が入るかわからないから、自由に予定が入れられない
  ↓     ↓
お客様中心になり、家族との時間が減る
  ↓     ↓
いつもガラガラなのに、いつも忙しい
  ↓     ↓
いつも忙しいから、いつもイライラする

 

 

営業日時を決めないことで、あなたの中でも
こんな負のフープができていくなんて、悲しいですよね。

では、営業日時を決める時のステップも
細かく見ていきましょう。

①理想通りに集客できている自宅サロンを想像する

まず、あなたの開業した自宅サロンに
あなたが理想としているお客様たちが
あなたが理想としている頻度で通ってくれて
あなたが理想としているだけの収入ができている

そんな状態を想像してください。

この時も、Step1と同様に
より具体的に想像することが大事です。

  • ターゲットは何曜日の何時頃に通っているか
  • ターゲットに月に何回通っているか
  • あなたは一ヶ月で幾ら稼いでいるのか

これらを、より具体的に想像してみてください。

②理想のライフワークバランスを考える

次に、理想通りに集客できていることを前提に
あなたの理想のライフワークバランスを考えます。

  • 何時から何時まで働きたいか
  • 何時から何時まで自分の時間を楽しむか
  • 週に何日、月に何日、年に何日の休暇を過ごすか

こうして、ライフワークバランスを
より具体的に考えます。

③営業日時を具体化する

ここまで来たら、もうほとんど完了です。

②で具体的に考えたライフワークバランスを
営業日時に反映していきます。

営業日時を決めるのが怖いあなたへ

もうお気づきかと思いますが
営業日時は、自分が働きたい日時から決めます。

間違っても、ターゲットの通いたい日時に
合わせて決めるのだけは、絶対にやめてください。

 

よく、開業してまだ間もないセラピストさんが
「毎週土曜日に通ってくださっているから」と
その方に合わせて定休日を決められる方がいらっしゃいます。

そんな方には、こんな質問をします。

「そのお客様が転職して、来月から月曜休みになったら
 あなたのサロンの定休日も、月曜日から土曜日に変えるんですか?」

 

まだ開業したばかりなのに、今通っているお客様を
中心に考えていてはダメなんです。

今のお客様は、来年には来なくなるかもしれないけれど、
あなたはここから、何年も自宅サロンを営業し続けていくんです。

だから、自宅サロンの営業日時は
オーナーさんのための営業日時でなければ続かないんです。

 

あなたは、これから数年かけて
あなたが理想とするお客様に囲まれながら
あなたが理想とする時間帯だけにお仕事をして
あなたが理想とするライフワークバランスを確率していくのです。

数々のハードルを超えて、たくさんの努力をしながら
自宅サロンを開業する醍醐味は、そこにあるんです。

そのためにも、開業時という絶好のチャンスを
逃してはいけませんよ!

Step3:自宅サロンの商品を準備する

ターゲットが決まって、営業日時が決まったら
次に、あなたのサロンで売るものを準備します。

ここで言う「商品」とは、化粧品や健康グッズではなく
トリートメントのメニューのことです。

ここから、Step1で決めたターゲット設定が生きてきます。

①ターゲットの悩みをリストアップする

まずは、Step1で決めたターゲットが
普段どんなことに悩んでいるかを考えます。

 

この時に気をつけることは

自分ができることを、出来るだけ考えないで
ターゲットの生活や人生を具体的に想像すること。

 

ここでは、あなたに何ができるか、ではなく
とにかくターゲットの気持ちになって
お客様が普段どんなことに悩んでいるのか
ただただお客様の立場になって具体的に想像します。

 

この時に、ターゲットが自分とあまりにかけ離れすぎていて
全く想像することができない場合は
ターゲット設定があまりに非現実的である可能性があります。

まだ開業準備の時点ですから、ターゲットにこだわり過ぎず
自分の人脈や、自分の経験などから、
より現実的なターゲットを設定することも重要なことです。

②ターゲットの悩みに対して、自分にできることをリストアップ

ターゲットの悩みがはっきりしたら
その悩みのリストの中から
自分に何かできることはないか、考えていきます。

この時のポイントは、
自分が売りたいトリートメントや技術だけに限らず
人として何をして差し上げられるか、を考えることです。

 

とても分かりやすい例として、
私がデザイナーとしてお仕事をいただいている
10年来のクライアントさんでもある
岡崎市のアロマアーティスト 仲間あゆみさん。

アロマアーティストらしく、ザ・アロマなサロンで
普段は癒し系のBGMをかけていらっしゃいますが
先日お邪魔した際は、珍しくハワイアンのCDをかけていらっしゃいました。

「ハワイアン、お好きなんですか?」とお聞きすると
こんな答えが返ってきました。

 

「もう長年通ってくださっているお客様が
 ハワイアンが大好きだとお聞きして
 ハワイアンのCDを買ってみたんですよ」

 

20年以上、アロマサロンだけで生計を立てていらっしゃる
セラピストとしても、自宅サロン経営者としても
大先輩の仲間さんのサロンは
お邪魔する度に、こんな学びの瞬間があります。

こんな小さなことから、お客様お一人お一人に
心地よい時間を過ごしていただく努力と工夫をする。

まさに、真のセラピストだ、と感じました。

 

特に、メニューを考える時は、
ついつい、何を売りたいかが重要になってしまいます。

でも、自分が売りたい物だけを並べているだけで
勝手に売れるほど、自宅サロンは甘くありません。

 

せっかくStep1で
「誰に、どうなってもらいたいか」を考えたのですから

「その方のために、自分に何ができるのか」

そこからメニューを考えることが
この先の、売れるか否かが変わってきます。

 

Step4:自宅サロンの価格メニューを決める

Step3で、ターゲットの悩みと、それを解決するために
商品になるものがわかったら、具体的にメニューにしていきます。

Step3②で、自分に出来ることがわかったところで
それを商品としてお客様の前に陳列する方法を考えます。

価格設定については、コラム記事でご紹介していますが
料金設定にも、細かなコツがいくつもありますので
ここではステップに分けて具体的に見ていきましょう。

①相場を調べる

まずは、同業種の自宅サロンの価格相場を調べます。

面倒ですが、これはやっておいて損はありません。

 

この時のポイントは、調べる地域と方法です。

調べる地域や方法は、ターゲットと集客方法に合わせます。

 

例えば、あなたのターゲットが10〜20代なら
SNSやブログで多くシェアされているサロンを
あなたのサロン所在地域に加えて、首都圏も調べておきます。

あなたのターゲットが30〜40代なら
ホームページやSNSだけでなく、あなたが集客に使用する
紙媒体も使って調べます。
特にクーポン雑誌やタウン誌も調べておきましょう。

あなたのターゲットが50代以上なら
インターネット媒体よりも、紙媒体を使って調べます。
特に、地域で主力の新聞の折り込みチラシは
絶対に調べて損はありません。

②価格に含むべき金額をまとめる

コラムでもご紹介している通り、価格には
絶対に含むべき金額があります。

  • トリートメントの材料費・経費
  • 先行投資の回収金額
  • セラピストの時給

これらは全て、価格に含まれるべき金額ですが
自宅サロンの価格設定では、見逃されがちな金額です。

これらの金額は、価格設定前に
一度はきちんと計算しておいた方が良い金額です。

また、一度計算しておけば
次からは大体の見当がつく部分でもありますので
必要経費として開業時に計算してみましょう。

③価格を微調整する

大体の価格が決まったら
次に、以下の点を考慮して微調整していきます。

  • ターゲットの経済レベル
  • 先行投資の回収期間

この2点は、自宅サロンの数だけパターンがあります。

ターゲットの経済レベルが高ければ
相場よりも少し高めにした方が良いでしょう。

また、ターゲットの居住地域が限定的なら
その地域の相場を参考にしてください。

 

④顧客を育てる価格構成にする

最後に、メニュー構成を
お客様の興味レベルに合わせて組み立てていきます。

  1. 試用客:商品の価値は理解しきれておらず、再購入するかはわからない
  2. 常連客:商品の価値は理解できていて、再購入をしている
  3. 上顧客:販売者への信頼が篤く、再購入を長期的に継続している

❶〜❸の段階、それぞれの顧客に合わせた
メニューを準備しておくことで

集客や紹介で来店した新しいお客様を
一回限りでなく、生涯顧客に育てていくことができます。

Step5:自宅サロンの部屋を準備する

最後に、自宅サロンのお部屋を整えていきます。

ここまでのステップで、ターゲットになるお客様と
ターゲットにとってのあなたの価値がはっきりしてきましたね。

ここまで来て、ようやく自宅サロンそのものを準備します。

この時点で重要なのは

  • ターゲットは誰か
  • ターゲットに、どんな気分になってもらいたいか
  • ターゲットが、どんなイメージをあなたに求めるか

自宅サロンをプロデュースする時に
「自分の好きな色」や「自分の好きな雰囲気」を
重視する方がほとんどです。

 

でも、サロンプロデュースでは
あなた自身が好きかどうかよりも
来て欲しいお客様が好きかどうかの方が重要です

 

ただ、この時点で
ターゲットが求めるイメージが
あなた自身とあまりにかけ離れている場合は
ターゲット設定自体が非現実的な可能性があります。

あなたの自宅サロンなんだから
背伸びしないあなた自身を気に入って来てもらいたい。
だからこそ、サロンプロデュースでも
背伸びし過ぎないでください。

あなたらしさが消えてしまう様なターゲット設定は
机上の空論でしかありませんからね。

番外編:自宅サロンの名前を決める

ここまで5つのステップをお伝えしてきましたが
「あれ?サロン名は決めなくていいの?!」
と疑問に思われた方も多いかもしれませんね。

 

自宅サロンの開業準備で
みなさん一番最初に考えられるのが「サロン名」です。

ご自分の名前をモジったり、好きな花や好きな言葉など
思い思いに直感だけでサロン名をつけられる方がほとんどです。

でも、直感だけで決めたサロン名には、落とし穴がいっぱい!

 

私はこれまで、多くの業種でサービス名や商品名をつけてきましたが
サービス名や商品名、店舗名(屋号)などの名称には
以下の役割があると考えています。

自宅サロンの名前が伝えるべきこと

  • 何を売りたいのか
  • 誰に売りたいのか
  • そこに通うことで、どうなれるのか

これは、自宅サロンに限らず
どんな業種で、どんな商品だとしても同じです。

ホームページやチラシを読み込んでもらう前に
サロン名を見ただけで、あなたの自宅サロンについて
お客様に感覚的に理解してもらう必要があります。

 

だからこそ、自宅サロンの名前は
あなたの感覚だけで作るのはもったいない!

ぜひ、サロン名を考える前に
まずは「自宅サロンの開業準備5つのステップ」に
しっかり時間をかけてください。

5つのステップで開業準備をしっかりしておけば
自宅サロンの名前に迷うこともなくなりますし
出来上がったサロン名は、あなたにとって
強い味方になってくれますよ!

自宅サロンの開業準備がととのったら

自宅サロンの開業準備がととのったら
いよいよ開業です!

開業したら、まず最初に現れる高い壁
それが「集客の壁」です。

 

でも、安心してください。

あなたが、Step1〜Step5にそって
自宅サロンを作り上げてきていれば
集客に必要な準備は全て整っています!

 

もう一度、確認しましょう。

  1. 誰に、どうなって欲しいのか
  2. その人のために、あなたに何ができるのか

この2つの質問に、はっきりと答えられていれば
集客では、この2つをどう伝えていくか、を考えるだけです。

 

一般的な、自宅サロン開業ハウツーでは
この「開業準備」と「集客」を一緒くたにしてしまっています。

でも、開業準備は集客とは別物です。

 

集客方法は日々様々な方法が増えていて
様々なコンサルタントや成功者と呼ばれる人たちが
実しやかな集客方法を発信しています。

「開業準備」をきちんとしておけば
そうした星の数ほどある新旧の集客方法の中から
あなたの自宅サロンに合った集客方法を
あなた自身で判断して選択できるようになります

だからこそ、「開業準備」には
しっかり時間とお金をかけていただきたいです。