こんにちは。連載を始めて2週間たちますが、皆さんはもう仕入れ先への問合せは終わりましたか?当校でもあちこちに確認に追われていますが、やはり「現在検討中」と言う答えが多いですね。これはいよいよ、コチラ側から問合せることで、早めに決定してもらうキッカケになってくれる事を祈ります。

さて、連載3回目の今回は『消費増税までにするべき事のSTEP2:内税・外税表示の決定』についてです。今回は、実際に決定する為に参考になる情報や、考えるべき点についてご紹介していきます。結局最後には校長のように「面倒だから」と言う理由で決定するとしても、知っておくと後々慌てずにすむ事がたくさんありますので、それをご紹介していきます。

対応の仕方を業界別にまとめてみました

私たち個人事業主が何かを決める時に何より気になるのが『大手がどうしているか』ですよね。経営に関しては素人同然の人がほとんどのおうちサロン事業主さんが多い我が校でも、こうしたお話をする際には必ず『他の企業がどうしているか』を参考としてお話しています。

今回はまず、各業界がどの様な対応になっているか、から確認していきましょう。以下のデータは、あくまでドリームヒントが独自で調べた結果です。間違いに気づかれた方は、訂正させて頂きますのでお気軽にご指摘ください。

税抜き(外税)表示を既に発表している業界団体

    日本チェーンストア協会日本スーパーマーケット協会新日本スーパーマーケット協会

  • 日本アパレル・ファッション産業協会
  •  全理連(全国理容生活衛生同業組合連合会)
  • 全美連(全日本美容業生活衛生同業組合連合会)

税込み(内税)表示を既に発表している業界団体

  • 百貨店協会
  • セブン&アイ・ホールディングス
  • 良品計画
  • 自動車メーカー・販売各社
  • 不動産(法規制あり)

独自の対応方法を発表している企業

  • 一部百貨店(三越伊勢丹ホールディングス・高島屋):衣料品の値札表示は原則『外税表示』売り場の棚は『税込み表示』
  • イオングループスーパー:本体価格と総額を併記
  • ニトリ:消費税増税後も消費者に提供する 価格を維持し、消費税増税分の3%をニトリ側が支払う方針。 表示価格も税込の総額表示。

価格表示の違いによって変わる消費者イメージ

各業界の動向を見てみましたが、そもそも何故こんなに価格表示だけで各業界があたふたしているのでしょうか?

業界に関わらず、あらゆる経営者が価格決定の独自のメソッドを持っていますが、こと内税・外税表示を決めるのは販売価格を決める時とは少し違います。この時考えなければいけないのは「表示価格による顧客離れ」です。価格は絶対的な来店の判断基準になりますから、ここを無視して価格表示の方法を決定することはできません。

まずはNHKの特集から、消費者の意識を見てみましょう。

総額表示(内税表示)支持者の声

  • わかりやすくていい。 いくら自分が払うのか、すぐ分かる。
  • 税抜き表示は、そのつど計算しないといけない。 面倒くさい。

税抜き表示(外税表示)支持者の声

  • 消費税は、どんどん変わっていくと思う。 そのたびごとに税込みで表示されると、元の価値が分からなくなる。

NHKおはよう日本「特集まるごと」より

やはり消費者としても意見は別れているようです。個人的にも、計算しなくて良い内税と、本体価格が見える外税、とではどちらも一長一短なイメージです。

Business Media 誠から発表された調査リポートを見ても分かるように、消費者としてはこれまで慣れ親しんだ総額表示(内税表示)を望むのは理解できます。ただ、事業主として考えなければいけないのは、この一長一短なところを何を基準に選択するかです。これは簡単なように見えて、なかなか難しい気がしてきましたが、とにかく判断材料を増やす努力をするしか無さそうですね。

内税・外税の長所と短所

では次は、内税表示と外税表示の長所・短所を見てみましょう。ここでは一般的に言われているものを、私なりに整理してみたいと思います。

内税表示

  • [GOOD]最終合計金額が計算しやすく分かりやすい印象
  • [GOOD]顧客が慣れているので潜在的に好印象
  • [BAD]見た目の表示価格が外税表示より高い
  • [BAD]本体価格が見えにくいので便乗値上げに対する疑念が生まれやすい
  • [BAD]今後の段階的な税率変更の度に表示価格を修正する必要がある

外税表示

  • [GOOD]見た目の価格が内税表示より安い
  • [GOOD]本体価格を表示するので便乗値上げに対する疑念が生まれない
  • [GOOD]今後の段階的な税率変更の際に表示価格を修正せずにすむ
  • [BAD]最終的に税率が安定する際に表示価格を税込に修正する必要がある
  • [BAD]顧客が慣れていないので間違われやすくクレームが増加する可能性がある

今後10%に上がる際にもまた価格表示を変えなければいけなく なる内税表示は、表示価格そのものも外税表示よりも高額になってしまうので、そのリスクを考えての選択となりそうです。

また、外税表示にしたとしても、最終的にはどこかの時点で内税表示が義務付けられる可能性があり、価格表示が何度も変更になる印象は否めません。

それぞれの短所に対する対策案

内税・外税それぞれに、予測できる短所には前もって対策を講じる事が可能です。その対策案をご紹介します。

内税表示の短所への対策

  • 本体価格そのものを見直すことで見た目の価格上昇を抑える
  • 本体価格も合わせて表示する
  • 印刷物やホームページなど変更に時間がかかるものは外税表示にしておく

外税表示の短所への対策

  • 内税価格も合わせて表示する

こう見ると、やはりどちらも経費的にも顧客イメージ的にもリスクがありますね。ただ、経費的な負担を減らすために政府が考えた一時的な措置ですので、外税表示をうまく利用すれば良い気がします。

大手エステ業者さんにも問合せしてみました

この記事を読んでいる方の多くが一番気になるのがココですよね。世界の知りたがり代表として、わたくし劉が直接電話で大手エステ業者さん4社に問合せてみました!と言うことで、結果は以下の通りです。

TBC

未定だが、キャンペーン毎に価格が変わるので内税になる可能性が高いが、ホームページで確認が必要。脱毛は分数売りから本数売りに課金方法そのものを変更。

たかの友梨

対応は決まっている可能性もあるが、カスタマーサポート部門には特に報告は無い。増税後にホームページ上で確認が必要。

ミス・パリ

現在検討中。いつ決定するかも不明。

ソシエ

現在検討中。いつ決定するかも不明。

4社のうち2社は即答でした。うち1社は、既に問合せがあった様です。(もう1社はただ担当者が面倒がっていた感じですが…)

まとめ

価格表示を考える時は、それぞれのリスクと対策法を考えて、わずか数年の間に自分がどれだけ経費をかけられるかも冷静に考えて判断する必要がありますね。特に、おうちサロンの場合は何年も前のパンフレットやチラシを見て電話をしてくださるお客さまも少なくありませんので、そうした際の実務的な対応もこの機会に考えておく必要がありそうですね。

また本体価格そのものを見直す場合も、前もって確認した仕入れ価格をきちんと反映して、面倒でも必ず原価計算をしっかりしましょう。そしておうちサロン経営者に多く発生する「人件費どんぶり勘定症候群」を発症しないようにしましょう。最終的にきちんと自分自身の人件費が出るように値段設定をしないと、忙しくなっても売上が上がらないサロンになってしまいます。今はままならなくても、最低賃金として時給が出せるくらい純利が出るように計算しましょう。