こんにちは。昨年4月から「早くやらねば」と思いつつ忙しさにかまけて手が付けられていなかったホームページリニューアルが完了し、ちょっと体調を崩している劉です。みなさんは体調いかがですか?
先月末、三重県四日市市の商工会議所にて開催された消費税転嫁対策セミナーに参加してきました。テレビにも出演されている経営コンサルタント三科公孝さんによるセミナーと言うことでしたが、月末だからか参加者数は残念な感じでした。が、そのおかげで消費増税対策以外にも色々なお話が聞けて大変興味深いセミナーでした。
おうちサロン経営者には事業主としての意識の低い方が多いですので、消費増税対策自体を全く考えていらっしゃらない方も多いのではないかと思います。せっかく今回セミナーで具体的な対策方法をお聞きしてきましたので、その内容をおうちサロン経営者向けとして整理し直して、より具体的な手引きになるようにして連載でご紹介しようと思います。
第1回の今回は、まずセミナーで紹介されていた具体的な対策法をおうちサロン経営者向けに整理してご紹介します。
免税事業者と消費税
消費者としても見て見ぬ振りができない状況になる来年度の消費増税ですが、恐らくこの記事を読んでいる事業主の皆さんの正直な意見はこれだと思います。
消費税の納税義務があるほど売上は無いし
うちのお客さまはお友達のお友達程度だから…
はい、そのお気持ちはごもっともです。私も、我が校の校長も同じ思いでした。皆さんご存知の通り、
年間の課税売上高が1,000万円以下の場合には、その課税期間の納税義務が免除されます。
— 国税庁ホームページより
ですから、おうちサロン経営者の多くが納税義務が無い免税事業者です。では、納税義務が無い=非課税価格で良いのでしょうか?
今回セミナーで三科先生は「免税事業者であっても消費税は課税しなければならない」とおっしゃっていました。ここを理解するにはAllAboutが分かりやすいので、得意の転載をさせていただきます。消費税の納税額とは
預っている消費税(売上)- 支払っている消費税(経費)=差額
— AllAboutより
とされています。どうやら「仕入れで消費税を支払っているのだから、それを販売価格に転嫁する必要がある」と言う理論のようです。消費者目線で見るとちょっと疑問を感じなくも無いですが、こう考えると納得がいきました。
仕入れ時点で支払っている消費税の金額分
損が出ないように販売価格に転嫁しているのに
それを「消費税」として消費者の目に見えるようにして
価格表示をする必要は無いのか?
私はここに気づいた事で、免税事業者として消費税を転嫁する罪悪感が無くなりました。実質「消費税」であるにも関わらず「消費税」と知らされず支払うのは、やはり消費者としては納得がいかないですよね。
特にこう言う消費増税時には、それに便乗した値上げ「便乗値上げ」が横行するものです。それを防ぐためにも、また「便乗値上げではない」と言う事をお客さまに分かるようにする為にも、この機会に今一度考え直す必要がありそうですね。
今回の消費増税は、既に多くの業者が販売価格や表示価格の見直しを発表しています。これは販売価格の見直しをする良いチャンスです。みなさんもこのチャンスに、免税事業者であるからこそ「消費税」をお客さまに分かる形で価格転嫁をしていきましょう。
年内にするべき事
では、実際に消費税を転嫁する具体的な手順について考えていきましょう。ここからはセミナーで紹介された方法を基に、特におうちサロン経営者に合わせて整理していきます。
まずは年内にするべき事です。セミナーではどちらかと言うと大きめの企業向けて順でしたが、おうちサロン経営者はほぼ個人として活動していますので、やるべき事の順序が大きく異なってきます。
STEP1:仕入れ先への新価格の問合せ・確認
とにもかくにも、まずは仕入れ先へ来年度以降の価格変更があるかを確認します。おうちサロン経営者の場合、ほとんどの方はメーカーから直接ではなくディーラーさんから仕入れていらっしゃいます。この場合、仕入れ先との原価交渉はまず不可能です。まずはディーラーさんに来年度の消費増税に伴う価格変更が無いかを確認してください。(詳しくは、次回連載記事で!)
STEP2:内税・外税表示の決定
仕入れ価格の確認ができたら、価格表示の方法をどうするか考えます。2017年3月までは価格の表示方法はそれぞれの業界や業者で決定して良いことになっています。これまでの内税表示から外税表示に変える事も可能ですので、どうするかを決定する必要があります。
STEP3:駆け込み需要の販促
既に小売業界では始まりつつある駆け込み需要を見越したキャンペーンです。セミナー講師によれば、既に都内の住宅購入は前年比で170%を超え、松屋では年末・年始の福袋商戦で「春まで使えるまとめ買い福袋」としてキャンペーンを打っているそうです。(これに関してはインターネット上では裏付けになる情報は見つかりませんでした。)
消費税が3%から5%に引き上げになった時には、駆け込み需要の増加によって販売がアップしても、増税後3〜6ヶ月(長い業種では6〜12ヶ月)も消費が冷え込んだそうです。それを見越して年明けからの駆け込み需要の対策を取る必要がありそうですね。
年度内にするべき事
次は年度内にやっておくべき事です。こちらもおうちサロン経営者に合わせて考えていきます。
STEP4:印刷物やホームページの変更
年内に価格表示の方法を決定した理由がここにあります。年内に決定していないと印刷物やホームページの変更が4月1日に間に合わなくなります。自宅で印刷していようと、外注業者にお願いしていようと、価格の変更には時間も手間もかかりますので、早めの対応が必須です。
STEP5:お客さまへのお知らせ
ご自身の立場で考えていただければ分かりますよね。お客さまは、増税以降の価格について漠然とした不安を抱えています。ここでお客さまへあなたの対応方法をお知らせすることで不安感をぬぐい去り、同時に駆け込み需要対策として設定したキャンペーンをお知らせすれば一石二鳥ですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。漠然としていた問題意識がはっきりとしてきたと思います。本当は1回のみで終わるつもりだった「おうちサロンの消費増税対策」ですが、かなり複雑で1つ1つ着実に色々な事を決定していく必要がありますので、今回は全体の流れをご紹介しました。
来週からは、それぞれのステップで考えないといけない事、気をつけなければいけない事などをご紹介していきます。この連載をきっかけにして、みなさんが「事業主としての心構え」をしていただければ嬉しいです。